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既に申し上げたように、この事業の利益性は誰もが認識していても、実際には当NPOしかこれを試みていないのは、もしこの事業を官公庁や民間企業が行なうとしても莫大な費用がかかりすぎ、また費用に対する効果(リターン)がさほど期待できない・・という事情があるからなのです。記事紙面の1ページの入力をフルタイムで行なっても、早い方でも2日はかかりますから、1ページ当たりの直接の入力コストは安く見ても1万円はかかります。1万円を10万紙面とすると直接費だけで10億円、間接費を入れれば20億円以上のお金がかかってしまう事業なのです。これはあくまで安く見ての話です。仮に20億円かかっても、これを回収してさらに利益を生み出すようなビジネスモデルが成り立てばどこかの企業が事業として手を染める可能性はありますが、どうでしょうか?
NPOの存在意義とは何でしょうか?
公共機関や民間が費用やその他の理由で手が出せない困難な事業で、しかもそれが成し遂げることができさえすれば、汎く国民一般にとって有益であるという類の事業を敢えて行なうのがNPO法人の役割であると私どもは考えています。この近代新聞テキスト化事業は、普通に考えれば不可能な事業ですが、NPOと全国から無償で参加されるボランティアの皆さんの手で行なわれるのであれば、テキスト入力にかかる直接費は計算しなくて済むのです。間接費は当然かかってきますが、これとても、当NPOの会員であるボランティアの手で多くの仕事が実施されますので、上の計算のような金額が支出されるという事にはなりません。しかし、インターネット上で入力をし、記事を公開するソフトウエアや機器の購入、さらにはボランティアにお送りする紙面の郵送料などの費用は当然NPOとして支出しなければなりませんが、これは当NPOの他の部門からの剰余金や支援企業からの助成金である程度は賄うことができます。
更に足りない部分は、この後述べる記事検索の有償サイトの会員となっていただく公共図書館、大学、市区町村、個人の方々からの会費も充てることになります。
以上のような仕組みの中でこそ、官公庁や民間企業では不可能な、しかし非常に有用な事業を、成立させることができるのです。このような事業こそがまさしくNPOが本来担うべき事業であると私どもは考えています。 |